【読書】前回の火花から2年ぶりの最新刊!又吉直樹の「劇場」を読んだ感想とレビュー-人間の不器用さが詰まった作品-

又吉直樹最新作「劇場」

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前回の火花から約2年ぶりの作品となる今作「劇場」。前作の火花は中編小説でしたが今回は又吉直樹としては初となる長編小説となります。火花の際に第153回芥川龍之介賞を受賞し発行部数110万3000部という文藝春秋では歴代第二位の記録となりました。そんな2年ぶりとなる最新作ですが今回のテーマは「恋愛小説」。何とも以外なジャンルで発売しましたね。私としては恋愛小説が好きなので嬉しい一冊ではありますが、今回のストーリーはどのようになっているのでしょうか。

一番 会いたい人に会いに行く。
こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。

演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。
夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った――。

『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、
書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。

夢と現実のはざまでもがきながら、
かけがえのない大切な誰かを想う、
切なくも胸にせまる恋愛小説。 

(Amazon引用)

 では、早速感想とレビューを書いていきたいと思います。

 

主人公の不器用さはある意味人間らしい

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主人公である永田くんと恋人である沙希ちゃん。永田くんを読んでいて思ったのはきっと彼は不器用でワガママな性格だけどある意味人間らしいと私は思った。この主人公の永田くんというキャラクターはもしかすると筆者である又吉さんと同一人物なのではないだろうかと思う瞬間もあった。職業は違うが「演劇」と「芸人」の2つの共通点は「夢をどれだけ追いかけられるか」という事だと思う。沙希ちゃんが卒業し昼夜働いている中、永田くんは夢を追いかけて沙希ちゃんに金銭面でお世話になったり。きっと永田くんのキャラクターに怒りを覚えた人が多いのではないでしょうか。

 

「こんなヤツと早く別れろ!君にはもっと良い人がいる!」

 

私自身も読みながらそんな事を思っていましたが読み終わった後思ったことは人間らしいではないかと。思えば世の中にはこういった人は沢山いるのではないでしょうか。「お笑い芸人目指したい」「俳優・女優になりたい」「音楽でデビューしたい」。なりたい事は違うが「夢」という意味では同じのような気がする。きっとそんな事を思えたのは又吉さんの文章の書き方ではないでしょうか。火花の時も思いましたが面白い文章を書く人だとは思います。前回の火花を最初に読んだ時は「こういった文章を書くのか」と驚きましたが、今回の劇場も面白い文章になっています。

 

最後の一言が今回の劇場を良い作品にしている

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今回の劇場は私は「人間の不器用さが詰まった作品」と書きましたが永田くんの「演劇に対する思い」や「価値観」「恋愛」「行動」はやはり人と違うという事は読んだ人も解る事だと思います。きっと主人公の行動1つ1つにモヤモヤしたりイライラしたり。そんな気持ちを抱きながら読んだのではないでしょうか。最後の永田くんの長いセリフを読んだ後、今回の劇場のストーリーが更に良い1冊にしているように思えます。「劇場」を読みながら「こんな不器用で酷い男は中々いないだろう」という気持ちになりますが読んだ後「意味は違うがこういう恋愛の仕方をしている人結構いるかもしれない」と思った。いや、むしろ恋愛慣れしていない人の恋愛というのは永田くんみたいな行動かも知れません。

 

自分は違うと思っていても「ここは気をつけよう」と読みながら思ったのはきっと男性目線だからかも知れない。そういった人間の感情に関して言えば前作である火花を超えているように思えます。私としては前作の火花が読みにくいと思った人も多いでしょうが、今作は読みにくいというよりも「どれだけ2人の世界観を把握出来るか」がポイントではないでしょうか。「共感」とまではいかないが全10話程のドラマを見るような感覚で読むと読みやすいかも知れませんね。これにて又吉直樹最新作「劇場」のレビューを終わりたいと思います。